2007年10月05日
マルトン (フルゲンス)
■憧れのバラ苗■マルトン (フルゲンス)
                         可憐なハイブリッド・チャイナ

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明るいチェリーピンクの可愛い花
花びらぎっしりで外側の花びらは桜貝のようです

中心は濃い色の花びらがぎゅうぎゅう詰め
花びらは色あせが少なく美しい色が長もちします

モダン・ローズと同じ頃に咲き始めて
モダン・ローズよりは長く咲き続けます

つるの伸長は3メートル程度
元気なつるバラです

え? つるバラ? チャイナじゃないの?
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それにお答えする前に
ここでちょっと想像してみてください

あなたは18世紀のロザリアン

初夏のお庭をガリカ、アルバ、ダマスク、
センティフォーリアなどの
一季咲きのバラが彩ります

花色・花姿・香りにウットリ

あまりにウットリしすぎて
バラが全部咲き終わったころには
いつもちょっとばかりプチ・ウツ状態

そして、ある日 異国から
一年中咲くバラが到着したと聞きます

あなたはバラの交配もおできになる!

よし! 新しいバラを作ろう!

さぁ〜て さてさて 
あなたが作り出したいバラはどんなバラ?
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↓ここからは実話です

チャイナ・ローズが伝わってきたとき
ヨーロッパの人々は
春以外にも花が咲くバラに驚きました

そして最初に作りたいと思ったのは
返り咲きするガリカやアルバや
センティフォーリア

今まで愛でていたバラたちが姿そのままで
返り咲き性を持つことを願ったのです

その試みは実践されました

ガリカとチャイナの交配 
アルバとチャイナの交配 などなど

これらのバラが
『ハイブリッド・チャイナ』と呼ばれる系統です

『聞いたことないよ〜』????

そうですね  ごく普通に分類するときは
『ハイブリッド・チャイナ』という言葉は使われず

一番似ているクラス
(ガリカやブルボンなど)に分類されます

普通はブルボンに分類される『ブライリーNo.2』も
ハイブリッド・チャイナの仲間なんです
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『ハイブリッド・チャイナ』は返り咲きしたでしょうか?
答えはノンです

チャイナの血が入ってコンパクトになったでしょうか?
これまたノン

『ハイブリッド・チャイナ』は返り咲き性ほとんどゼロ

予想外のつる性の性質を獲得したものもあります

当時の人たちはビックラコ

返り咲き性を求めて交配をしたら
返り咲かないでつるバラが誕生したのですから!

しかしこのつるバラたちは人気を集めました

『マルトン』も非常に人気の高かった品種だそうです

19世紀、20世紀には『フルゲンス』という名前でも
呼ばれていました

『明るい』とか『輝く』とかを意味する
ラテン語だそうです

この花色がとても印象的だったのでしょうね
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チャイナ・ローズとオールド・ヨーロピアン・ローズの
交配第一世代は返り咲きしませんでしたが

次の世代、またその次の世代と
交配を重ねるうちに
返り咲きのバラが誕生します

これがハイブリッド・パーペチュアルです

『マルトン』もハイブリッド・パーペチュアルの誕生に
重要な役割を果たしました

ヨーロッパの人々が大きな夢を抱いて交配したバラ
『ハイブリッド・チャイナ』

つる性の生育で人々を驚かせた
『ハイブリッド・チャイナ』

21世紀のガーデンに
『ハイブリッド・チャイナ』はいかがでしょうか?

遠い昔のヨーロッパの人々の
浪漫を感じることができそうです